【世界5カ国調査】こどもの目に関する保護者の意識とケアや生活習慣の傾向が明らかに

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ロート製薬「こどもの目の白書2025 GLOBAL編」公開 【世界5カ国調査】こどもの目に関する保護者の意識とケアや生活習慣の傾向が明らかに

2025年8月8日

ロート製薬株式会社(本社:大阪市、社長:瀬木 英俊)は、6月10日の「こどもの目の日」*1に合わせて、世界的にこどもの目の健康に対する関心が高まる中、アメリカ・シンガポール・中国・ドイツ・日本の5カ国に在住する小学生の保護者とそのこどもを対象に、目のケアや生活習慣に関する意識調査を実施しました。なお、本調査はインターネットを通じて各国の小学生の保護者を対象に実施されたものであり、各国の一般人口動態の傾向を正確に反映したものではありません。
この国際調査は、現在開催中の2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)を契機に、世界に目を向けた取り組みや交流が活発になる中、各国の保護者がこどもの目に対してどのようなケア意識があるか、また日常生活における行動や習慣にどのような違いがあるかを把握することを目的としています。なお、当社は同万博にブースを出展し、来場者に対して目の健康チェックを提供するなど、グローバルな視点で「目の健康啓発」に取り組んでいます。
本調査の結果、こどもの目に対する保護者のケア意識やその内容、またデジタルデバイスとの関わり方や屋外活動の傾向などにおいて、5カ国間、また各国の保護者とこどもたちの間での違いや特徴があることがわかりました。

*1:「こどもの目の日」とは:「はぐくもう!6歳で視力1.0」という願いを込め、日本眼科啓発会議より一般社団法人日本記念日協会を通して制定された記念日。

調査サマリー

PART1:こどもの目のケアとその内容、保護者自身の目のケア意識

  • 中国の保護者はこどもの目に対するケア意識があり、その内容も幅広い
    その他の国の保護者は、こどもの目に対するケア意識とその内容には違いが見られた
  • 日本は保護者自身の目をケアしていない割合が12%、ドイツは4%、その他の3カ国は0%

PART2:世界のこどもの生活習慣

  • 小学生のデジタルデバイス接触時間は、中国が短い結果に
  • 屋外活動の時間は、ドイツが長い結果に

PART3:眼科医・松村先生の解説

  • こどもの目を守るためには、各家庭での意識と日々の行動が重要
  • デジタル機器との付き合い方や適切な視距離の確保、屋外活動など、日常の生活習慣を見直すことが予防に
  • ケアの実施においては、正しい知識と早めの対応が大切

調査概要

調査対象国 アメリカ、シンガポール、中国、ドイツ、日本
調査対象者 小学生のこどもを持つ親 各国100名(合計500名)
調査方法 インターネット調査
調査機関 自社調査
調査期間 2025年5月19日(月)~5月27日(火)

※調査結果の数値は小数点以下を適宜四捨五入して表示しているため、積み上げ計算すると誤差がでる場合があります。
※調査結果をご紹介いただく際は、「ロート製薬調べ」と注釈をご記載ください。
※視力に関する設問は、各国の表記や基準にあわせてローカライズされた選択肢を用いて調査を実施しています。
※視力低下における原因は様々ありますが、特定の原因に絞って質問した調査ではございません。
※本調査はインターネットを通じて各国の小学生の保護者を対象に実施されたものであり、各国の一般人口動態の傾向を正確に反映したものではありません。

PART1:こどもの目のケアとその内容、保護者自身の目のケア意識

小学生のこどもの目のケア意識について、ケアを「かなりしている/まあまあしている」と回答した保護者は、アメリカでは94.0%、シンガポール88.0%、中国98.0%、ドイツ85.0%と、いずれも9割前後にのぼりました。
また、「こどもの目のケアをかなりしている/まあまあしている」と答えた方に、どんなケアをしているかを聞いたところ、5カ国*2の保護者の意識に違いが見られました。
アメリカの保護者の回答では「メガネやコンタクトの使用*3」や「定期的な視力検査」といった項目のケア意識があることがうかがえます。
シンガポールの保護者の回答では「メガネやコンタクトの使用*3」「デジタルデバイスの接触時間管理」や「適切な照明」など生活環境へのケア意識が目立ちました。
中国の保護者の回答では「屋外活動の促進」「視力検査」「デジタルデバイスの接触時間管理」や「睡眠」「食事」など、ほぼすべての項目への意識が見られ、幅広いケア意識があることがうかがえます。
ドイツの保護者の回答では「視力検査」や「デジタルデバイスの接触時間管理」「適切な照明」など、生活環境へのケア意識がある様子が見て取れます。
日本の保護者の回答はサンプル数が少ないため参考値ではありますが、「視力検査」「デジタルデバイスへの接触時間管理」への意識があることがうかがえます。

*2:日本のケア内容のデータはサンプル数が30未満のため参考値です。
*3:眼科検診等で、必要に応じ矯正がされていると考えられます。

保護者自身の目のケア意識についても、各国で違いが見られました。「保護者自身の目のケアにおいて、どんなことをしているか?」という質問に対して、日本では12.0%の保護者が「自身の目のケアをしていない」と回答し、ドイツは4.0%で、アメリカ、シンガポール、中国では0%と、いずれもほとんどの保護者が自身の目のケアを行っていることが示唆されます。
日本では保護者自身の目の健康意識がやや低い可能性が示唆されました。

PART2:世界のこどもの生活習慣

デジタルデバイスの接触時間や屋外活動時間と視力には一定の関連があると言われていることから、それらの実態を調査しました。
各国の保護者の回答によると、こどものデジタルデバイス接触時間の一日平均*4はアメリカは96.9分、シンガポールは93.3分、中国は56.8分、ドイツは69.6分、日本は89.7分となり、中国が短い結果となりました。
屋外活動時間の平均*4については、アメリカが91.1分、シンガポールが88.4分、中国が83.6分、ドイツが115.3分、日本は72.8分となり、ドイツが長い結果となりました。

*4:平均値は、各選択肢の中央値(例:1~15分→8分、16~30分→23分 など)を用い、回答者数に応じた加重平均で算出しています。

PART3:眼科医・松村沙衣子先生の解説

今回の国際調査から、日本の小学生は、家庭における目のケア実施率はわずか26.0%と極めて低く、他国との大きな乖離が明らかとなりました。中国やアメリカでは9割以上、ドイツやシンガポールでも8割以上の保護者が目のケアを行っているのに対し、日本では約4人に1人という結果です。さらに、日本の保護者の12%が自身の目のケアも行っておらず、こうした低い健康意識がこどもの目のケアにも影響している可能性が指摘されます。
注目すべきは、各国で実施されている目のケアの内容の違いです。中国では視力検査やデジタルデバイス使用の管理に加え、睡眠、食事、屋外活動まで含めた包括的な対応が定着しており、シンガポールは矯正と生活環境の整備、アメリカは眼科的なケア重視、ドイツは照明環境やデジタル機器管理など予防的アプローチが主流です。これに対し、日本では多くの項目で実施率が他国よりも低く、家庭内での予防的取り組みが進んでいない実態が浮き彫りになりました。
生活習慣の面でも、日本の小学生はデジタルデバイスとの接触時間が比較的長く(約85分)、屋外活動時間は5カ国中最も短い72.8分と、近視リスクを高める傾向がみられます。特に近年は近視の低年齢化が進んでおり、文部科学省のデータでも裸眼視力1.0未満の小学生は年々増加しています。
今後は、「見えているから大丈夫」という誤った安心感を改め、保護者自身が正しい知識を持って日常的なケアを実践することが求められます。

日常生活の中で取り組めるケアとしては、

  1. 1日2時間を目指した屋外活動
  2. 30分近業ごとの休憩
  3. 正しい姿勢と視距離の確保(30cm以上)
  4. 500ルクス以上の明るさの照明
  5. スマートフォンなどの使用時間の制限(小学校低学年は1.5時間以内、高学年は2時間以下)
  6. 睡眠の質の向上

などが挙げられます。
また、学校健診で異常を指摘された場合は、必ず眼科を受診し、必要に応じて治療や矯正を行うことが重要です。本調査が、子どもの視力を守る第一歩となることを期待しています。

松村 沙衣子

所属:東邦大学医療センター大森病院 講師
専門:小児眼科、近視

2002年 東邦大学医療センター大森病院入局
2004年 東邦大学大学院博士課程入学
2008年 東邦大学医療センター大森病院助教
2008年 済生会横浜市東部病院眼科医長
2017年 シンガポール国立眼センタ― クリニカルリサーチフェロー
2020年 東邦大学医療センター大森病院助教
2023年 東邦大学医療センター大森病院講師

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当社の目の健康にかける想い

当社は1909年当社初の目薬を発売以降、目の研究を進め、多様なニーズに応えた製品を開発、販売するとともに、様々な活動を通してあらゆる世代向けに目の大切さを伝えてきました。近年では、一生の目の健康を守り維持していくためには、早い段階から目に関心を持つことが重要であると考え、特にこどもの目に着目した活動にも注力しています。
2023年日本眼科医会により、6月10日を「こどもの目の日」と制定されました。当社も、より多くの方がこどもの目への関心を持つきっかけとなる活動を継続して実施してまいります。

直近の取り組み

当社は2025年大阪・関西万博で「大阪ヘルスケアパビリオン」へ協賛出展しています。
ミライの医療やヘルスケアの領域で、人々が自分の可能性を見出し、前向きな一歩を踏みだすことを狙いとしたパビリオンで、PHRデータを利用して「ミライのアイケア」を体験いただける展示を行います。
当社はアイケアのリーディングカンパニーとして、今後もさまざまな提案を通じて少しでも多くの人に、自分の目や大切な人の目について気づき、考え、行動するきっかけを提供していきます。

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